6月25日(日)に沖縄県南城市にある手登根公民館で実施された「手登根の島」のお披露目会に参加してきましたので、その様子と歌を紹介したいと思います。
手登根(てどこん)とは?南城市の隠れた文化遺産の宝庫

那覇空港から約40分!琉球王国の歴史が息づく地域
手登根(てどこん)は、沖縄県南城市佐敷に位置する、歴史と伝統が色濃く残る地域です。
那覇空港から車で約40分とアクセスも良好ながら、観光地化されていない素朴な沖縄の原風景が広がっています。
手登根が誇る3つの文化遺産
1. 南城市無形指定文化財「手登根古式エイサー」
旧盆のウークイ(送り日)の翌日に行われる古式エイサー(手登根エイサー)は市の無形指定文化財に指定されています。
「遊び念仏」とも呼ばれ、集落内の拝所を巡り、精霊を送る伝統行事です。
近代的なエイサーとは異なり、鐘や太鼓、三線に合わせて念仏囃子(ねんぶつばやし)を唱える姿は、琉球の古き良き時代を今に伝えています。
2. 琉球統一の英雄・尚巴志の弟「手登根大比屋」ゆかりの地
1429年に琉球王国を統一した尚巴志(しょうはし)の弟、
手登根大比屋(てどこんうーふやぁ)の縁の地であり、伝説が数多く残る地域です。
3. 青年男女の交遊の場「アカバンタ」と毛遊び(もーあしび)文化
かつて「毛遊び(もーあしび)」という青年男女の交遊の場として親しまれたアカバンタ。
丘の上にある広場で、若者たちが歌や踊りで親睦を深めた沖縄独特の文化が息づいていました。
コロナ前には「もう一度毛遊びがしたい」という年配者の思いから「毛遊び祭」が開催されるなど、住民同士の団結力がある地域です。

「手登根の島」CD制作までの物語
この物語の始まりは、
南城市役所文化課が2018年~2020年に実施した「尚巴志塾」という人材育成事業にさかのぼります。
津波松夫さんの琉歌が地域の心を動かした
2019年、手登根区が対象地域に選ばれた際、
地域サポーター(地域の案内)を務めた津波松夫さんは、参加者に地域の魅力をより深く伝えたいと考え、手登根への思いを込めた琉歌を創作。
アカバンタの丘で披露しました。
その琉歌を聴いた嘉数区長(自治会長)や地域住民は、「この琉歌を形にしたい」と強く思ったそうです。
コロナ禍を乗り越えたCD制作プロジェクト
しかし、その直後に新型コロナウイルスが流行し、地域活動は停滞を余儀なくされました。
それでも地域を想う有志たちは諦めませんでした:
- 作曲:山内昌美さんが津波さんの琉歌に美しいメロディをつける
- 歌唱:民謡歌手の金城恵子さんがプロの歌声で命を吹き込む
- 資金調達:嘉数区長が地域内外の企業に協力を依頼し、寄付金を集める
作成費用は結構かかったそうですが、地域内外の企業に掛け合い、寄付金でCD制作を完成できたそうです。
しかも、地元新聞社も応援!
「沖縄タイムス」「琉球新報」が地域活性化の取り組みとして記事に取り上げてくれて、手登根にゆかりのある方々がCDを購入してくれたそうです。
お披露目会開催の決意
集まった資金で、嘉数区長は津波さんや地域の方々への感謝を形にしようと、
今回の「お披露目会」が開催されました。
コロナ禍で失われかけた地域の絆を、音楽の力で再び紡ぎ直す試みとなりました。
披露目会の様子と「手登根の島」の歌詞・動画

2023年6月25日、手登根公民館に集った笑顔
6月25日(日)、手登根公民館で開催されたお披露目会には、地域住民や関係者が多数集まりました。
会場は温かい拍手と笑顔に包まれ、ゆいまーる(助け合い)精神を肌で感じられる空間でした。
津波松夫さんからのメッセージ
津波さんは挨拶の中で
- 地域の人々や関係者への深い感謝の気持ち
- 「行動することの大切さ」について
- 思いを形にすることで生まれる感動
等をスピーチしてくれました。
「手登根の島」歌唱動画
お披露目会で披露された「手登根の島」の動画をご覧ください
せっかくだから、歌を録画しようと急遽撮影したので、少し手ブレありますが
興味をもってくれた方はぜひ聴いてみてください。
地域を支えるゆいまーる精神と今後の展望
嘉数区長が語る「やるなら思いっきり」の精神
お披露目会後、嘉数区長にインタビューする機会をいただきました。
「地域が高齢化する中、コロナで集まることもできず、地域の活気が失われていくのを感じていました。
でも、落ち着いた今だからこそ、『やるなら思いっきりやろう』と有志と決意し、CD制作に全力を注ぎました」
過疎化と闘う南城市の地域力
南城市は過疎化が進む地域も多く、自治会運営には人手不足などの課題があります。
しかし、手登根区のように「地域に活気を取り戻そう」と行動する姿勢は、他の地域にとっても大きな希望となっています。
なびんちゅの想い
私は尚巴志塾で地域サポーターの依頼をしただけでしたが、津波さんや嘉数区長から「歌を作るきっかけになった」とお披露目会に招待していただきました。
なびんちゅ地域の方々の行動力と絆に触れ、私自身も大きな勇気をもらえました。
手登根へのアクセス・観光情報
基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | 沖縄県南城市佐敷字手登根52番地 |
| 那覇空港からの距離 | 車で約40分 |
| 世帯数 | 366世帯(令和6年6月末時点) |
| 人口 | 864人(令和6年6月末時点) |
周辺の観光スポット
手登根を訪れた際は、南城市の他の見どころもぜひ:
- 斎場御嶽(せーふぁうたき):世界遺産、琉球最高の聖地
- 久高島:神の島として知られるパワースポット
- ガンガラーの谷:太古の自然が残る鍾乳洞跡
- 知念岬公園:太平洋を一望できる絶景スポット
手登根古式エイサー情報
- 開催日:旧暦7月16日(旧盆ウークイの翌日)
- 場所:手登根区内の拝所
- 特徴:南城市指定無形文化財の貴重な伝統芸能
※見学希望の方は事前に手登根公民館や南城市役所文化課へお問い合わせください
まとめ:音楽が紡ぐ地域の未来
「手登根の島」のCD制作とお披露目会は、地域活性化の事例(モデルケース)になると思いました。
- 伝統文化の継承
- 地域コミュニティの再生
- 世代を超えた絆の構築
- 過疎化への挑戦
沖縄の小さな集落から生まれた大きな物語を、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。
なびんちゅ2025年現在は、区長たちが代わり、新しい区長や書記さん達が、若い世代とのつながり等、地域課題に悩みながらも試行錯誤しながら頑張っています。




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