子どもの初めての誕生日は、家族にとって特別な瞬間です。
全国各地で1歳の誕生日を祝うさまざまな風習がありますが、沖縄では「タンカーユーエー(タンカー=満1歳、ユーエー=お祝い)」という伝統行事があります。
本記事では、沖縄で暮らす筆者が、実際に我が子のために「タンカーユーエー」体験をご紹介します。

初めての子育てで分からないことだらけの中、準備や当日の流れ、実際にやってみて感じたことなどをまとめました。
また、他県でも広く行われる1歳の誕生日行事の「一升餅(いっしょうもち)」にも挑戦もレポート。
これからタンカーユーエーをやってみようと思っているママ・パパの参考になれば嬉しいです♪
1. タンカーユーエーとは?|沖縄の1歳誕生日祝い

タンカーユーエーとは、「子どもの満1歳の誕生日を大々的に祝う」沖縄の伝統行事です。
・「タンカー」は「満1歳の誕生日」を指す沖縄の言葉。
・「ユーエー」は「お祝い」を意味します。
この行事では、家族や親戚が集まり、祖先やヒヌカン(沖縄の台所の神様)に感謝しながら、赤ちゃんの健やかな成長を願います。
沖縄の選び取り「タンカー占い」とは?
この行事の目玉は「タンカー占い」。赤ちゃんが並べられたアイテムの中から最初に手に取るもので将来を占うというもので、県外では「選び取り」といわれるお祝い行事と似ています。
沖縄では、この行事を盛大に行う家庭が多く、ホテルやレストランで会場を借りて親戚や友人を大勢呼んで祝うケースもあれば、家や祖父母宅に集まって手作りで楽しむこともあります。
2. タンカーユーエーの由来と大切にされてきた理由
昔は医療が発達しておらず、無事に1歳を迎えることは家族にとって大きな節目でした。そのため、祖先やヒヌカンに感謝しながら、子どもの健康と成長を願う行事としてタンカーユーエーが定着したようです。
なぜ大切にされているのか
1歳の誕生日は、赤ちゃんが「初めて自分の足で立ち、歩き始める」時期でもあります。
この節目を特別に祝うことで、赤ちゃんが無事大きくなったことを改めて実感し、家族の絆が深まり、赤ちゃんの未来に思いを馳せる貴重な機会になります。
また、タンカーユーエー占いを通して、「子どもは何に興味を示すだろう?」というワクワク感を得られるのも、長く大切にされてきた理由なのかな?と思います。
3. 【準備編】タンカーユーエーはいつ?何をする?
タンカーユーエーに必要な準備は、大まかな流れは以下の通りです。
(1) 日程と場所を決める
多くの家庭では、誕生日当日やその前後の休日にお祝いします。
家族の都合を考え、場所も含めて早めに決めておくとスムーズです。
(2) 招待客をリストアップ
どこまでの親戚を呼ぶのか、友人を招待するのか決めます。沖縄では大勢で盛大に祝うこともありますが、家族だけで祝うシンプルなお祝いも増えています。自分たちのライフスタイルに合った形でお祝いするのがオススメです。
(3) 必要なアイテムの準備
タンカーユーエー占いに使う道具、料理や飾り付け、お祝いの品、写真撮影用の背景などを用意します。特に赤ちゃんが手にすることになるアイテムは事前に揃えておくのがポイントです。
(4) 装飾と料理の手配
100円ショップや通販サイトを活用して、飾り付けを用意しました。料理は手作り、またはオードブルやケータリングを利用すると便利です。
4. タンカーユーエー当日の流れ
一般的に、タンカーユーエーは次のような流れで進みます。
(1) ヒヌカンや仏壇に祈願する(なければ省略)
ヒヌカンや仏壇がある場合は、まずここに赤飯や泡盛などを供えて子どもの健やかな成長を祈願します。我が家にはないので省略しましたが、「今まで無事に育ったことへの感謝」の気持ちをもって実施しました。
(2) タンカー占い(選び取り)をする
少し離れたところに子どもを座らせ、床や低いテーブルの上にアイテムを並べます。
(3) 家族みんなで食事や団らん
写真撮影や動画撮影を済ませた後は、みんなで食事を楽しみながら子どもの1歳を祝います。
5. タンカーユーエー占い(選び取り)と我が家の結果
タンカーユーエーの最大の見どころともいえるのが、占いに使うアイテムの「選び取り」です。
よく使われるものとしては、以下が代表的です。
1. 赤飯(白米でも可)→ 食べ物に困らない
2. 本 → 学者や知識人になる
3. 筆(ペンや墨でも可)→ 役人や書き物に縁のある職業
4. お金 → お金に困らない人生
5. そろばん(電卓でも可)→ 商売人として成功
6. はさみ(女の子限定の場合が多い)→ お裁縫上手
これらはあくまで定番の一例です。我が家では、以下のようなアイテムを用意しました。

用意したアイテムと我が家の解釈
- 赤飯→食べるものに困らない
- 絵本→学者になる、文章力がつく
- 筆→役人になる、勉強ができる
- お札→お金持ちになる、お金に困らない
- そろばんと電卓→商売できる、計算ができる
- 野球ボール→野球選手、スポーツマン
予想では絵本か野球ボールでしたが、結果は、最初にお札を、次に筆を手に取りました。
将来、勉強ができてお金持ちになってくれるかもしれません。
家庭によって、それぞれの願いを込め自由にアレンジできるのが、タンカー占いの面白いところです。
6. タンカーユーエーの場所は?3つの候補のメリット・デメリット
タンカーユーエーを行う場所は、一般的に「自宅」「祖父母宅」「ホテルやレンタルルームなどを借りる」の3パターンが考えられます。
(1) 自宅で行う
メリット | デメリット |
---|---|
飾り付けを自由にできる。 移動が少なく、子どもの負担が軽い。 ほかの人に気兼ねせずにできる。 | 準備に時間と手間がかかる。 招待人数が多いと部屋が手狭になる。 駐車場など問題もある。 |
(2) 祖父母宅で行う
メリット | デメリット |
---|---|
仏壇やヒヌカンがあると、儀式をスムーズ。 田舎や広い場所なら駐車も確保できる。 親戚が集まりやすい。 | 飾り付けの自由度が落ちる。 オムツや着替え等を持ち運ぶ必要がある。 自分のペースで動きづらいことある。 |
(3) ホテル・レストラン・貸しスペースを利用する
メリット | デメリット |
---|---|
会場によっては専用プランがある。 料理や配膳、片付けの手間を軽減できる。 駐車場や広さが確保、人数が多くても安心。 | 費用がかかる。 自由に飾り付けができない、制限がある。 時間の制約や自分のペースで進行しづらい。 |

私は、自宅で旦那と飾り付けをして、大人用はオードブルと寿司を準備、子どものは手作りのスマッシュケーキ(ヨーグルト)と離乳食を用意しました。
7. 当日の料理・飾り付けと注意点
(1) 飾り付けのポイント
我が家では、100円ショップで風船や「HAPPY BIRTHDAY」のガーランド、1歳用の数字バルーンなどを買って、切り抜いた子どもの写真と一緒に飾り付けしました。

DIYが得意な方は、ペーパーフラワーやポンポンなどハンドメイドの装飾を作っても素敵です。
(2) 料理の選び方
大人用
- 手作りの他に食べやすい寿司やオードブル、ピザ、サンドイッチなど頼むと準備が楽。
- 大人数ならケータリングを利用することで後片付けを大幅に減らせます。
- 私達は子どもが食べる用以外にも大人用のケーキを準備しました。
子ども用
- 日頃から食べ慣れている離乳食や、赤ちゃん用のバースデーケーキを用意する。
- 当日はバタバタするので、作り置きや温めるだけで仕上げを簡単にできる状態にしておくのがポイント。
私は、YouTube「mamamacoちゃんねる」さんの動画をみて、砂糖不使用ヨーグルトを使ったスマッシュケーキを作りました。

材料は、いちご、食パン、ヨーグルトです!
mamamacoさんの動画を参考にした理由は、パンにヨーグルトを塗るときは、スプーン等で家庭にある道具を使っていて、料理が上手じゃない私でも出来そうだなと思えたことです。

(3) 当日の注意点と反省点
やってみると意外と時間が取れず、料理の準備が間に合わないこともあります。
“当日は何が起こるかわからない”くらいの気持ちで、デコレーションは前日に終わらせたり、冷蔵庫にストックし温めるだけで出せるようしておくと、当日の負担が大きく減ります。
8. 一升餅(いっしょうもち)とは? |沖縄でのやり方とお店
「一升餅」を子どもの1歳の誕生日に背負わせる行事です。沖縄本島では一般的ではないそうですが、我が家では挑戦しました!
一升(約1.8kg)のお米で作った餅を風呂敷やリュックに包み、以下のような願いを込めます。
- 一生(いっしょう)を通じて食糧に困らないように
- 餅のように粘り強く生き抜いてほしい
- のびのびと成長していくように
- すべてが丸く収まるように(丸い餅の形から)
準備とやり方
- 一升餅と風呂敷・背負い袋を用意する
- 子どもに背負わせて歩かせる
立てたら「将来は自立して出世する」、転んだら「厄落としになった」、座り込んだら「家を継いでくれる」など、どんな結果でも縁起の良い解釈があります。

沖縄で一升餅を購入するなら「琉球ドルチェ」
沖縄本島では取り扱っている店舗が限られますが、「琉球ドルチェ」では背負袋と紅白餅のセットを税込4,000円ほどで販売しています。
2日前までの予約が必要なので、思い立ったら早めに問い合わせるのがおすすめです。もしお店で入手できなければ、ネット通販や自作(お餅メーカーを使って作る)なども検討してみてください。
9. 実際にタンカーユーエーと一升餅をやった感想とまとめ (動画あり)
動画でタンカーユーエーとる一升餅の行事の様子をまとめてみました。

タンカーユーエーの感想
用意したアイテムに子どもが手を伸ばす瞬間はドキドキで、家族みんなで盛り上がりました。
自宅で行ったことで、オリジナルの飾り付けを楽しめ、子どものペースで進められたのが良かったです。
自宅で行うメリット
- オリジナルの飾り付けを楽しめた
- 子どもが普段慣れ親しんでいる場所なので安心感があっった
- 料理など費用面もコントロールしやすかった
- 途中でお風呂にいれたり、着替えさせたり自由にプラン変更できた
当日バタバタしてしまった反省点
- 子ども用の寿司風料理を作る予定が、結局離乳食のストックを出すだけになってしまった
- お祝いの進行と料理などの対応で体力と時間を使った
※写真や動画は旦那や兄弟に撮影してもらっていました。
一升餅をやってみた感想
タンカー占いのあとに、背負い袋をセットして前と後ろにお餅(合計1.8キロ)をいれて、スタンバイ。
最初は、すぐコケたので、「やっぱり重たいかな?」と思っていましたが、すぐに立ち上がりスタスタ歩いた姿をみて、成長を感じることができ、「やってよかったね」とみんな言ってくれてました。
一升餅をやったメリット
- 予想以上に餅が重いが、意外と子どもが歩いてくれることもある
- 転んでも立てなくても、それぞれ縁起良い解釈があって、どんな結果にもポジティブな意味がある
- 見ている大人も「どんな意味づけにしようか?」と楽しめる
【まとめ】タンカーユーエーと一升餅で最高の1歳誕生日を
タンカーユーエーは、沖縄ならではの“ご先祖様への感謝と子どもの健やかな成長を願う”温かい文化です。そして、一升餅は子どもが成長する姿を見守る素敵な行事です。
どちらの行事も「子どもの成長と健康を祈り、家族や大切な人たちが笑顔で集う」が共通の想いがあります。
1歳の誕生日は子どもにとっても“一生に一度”の記念すべき日です。ぜひ、みなさんのご家庭に合ったスタイルでタンカーユーエーや一升餅などの行事を楽しんでみてください。

これから準備を始める方の参考になれば幸いです。子どもの健やかな成長を、心からお祈りしています。
コメント