石垣島大浜の獅子舞体験〜子どもと伝統の「イタシキバラ」で健康祈願〜

2025年の旧盆明け、石垣島の大浜地区で開催される伝統行事「イタシキバラ」を見学してきました。

旦那の実家がある石垣の大浜地区では「獅子に噛めると健康に育つ」という言い伝えがあると聞いて、子どもの健やかな成長を祈る気持ちも込めて参加することにしました。

行ってみると、 迫力ある獅子舞と温かい空気が流れる地域行事だったので、その体験をレポートします。

目次

石垣・大浜の獅子舞「イタシキバラ」とは?

画像の引用元:八重山日報

イタシキバラ(イタツキバラ)は、旧盆のウークイ(送り日)の翌日に行われる、石垣島に古くから伝わる邪気払いの神事です。この行事には深い精神的な意味があり、「精霊送りの翌日、あの世に戻らずこの世をさまよう霊を獅子の霊力で払い、地域住民の無病息災を願う」という、単なるお祭りを超えた神聖な儀式なのです。

石垣市内では大浜、白保、宮良、平得、伊原間、真栄里、登野城などの各集落で行われ、それぞれに特色のある催しが繰り広げられます。
中でも大浜地区のイタシキバラは、大浜獅子棒保存会が中心となって継承されており、「子ども獅子舞」の継承ににも力を入れています。

獅子舞は雄獅子と雌獅子の2頭で演じられ、息の合った激しい動きや、ドラム缶の上に飛び乗る高さの技も披露され、地域住民だけでなく観光客をも魅了します。

当日の体験〜雨にも負けない地域の絆

開演前のエピソード

18時半頃から崎原公園で始まるということで向かいましたが、開演直前に大雨が降り出し、開演が30分ほど遅れることに。開催されるか不安になる雨の中でも義母と義弟が場所取りをしてくれたおかげで、なんと最前列で観覧することができました。

開演前には雨も上がり、日が沈むと美しい月が神秘的な雰囲気を添えてくれました。

小学生による子ども獅子舞〜未来への継承

まず最初に披露されたのは、大浜小学生による子ども獅子舞でした。

大浜地区は文化継承に特に力を入れているそうで、2頭の獅子(雄獅子と雌獅子)は生きているような動きで小学生とは思えない息の合った演舞に圧倒されました。演奏も子どもたちが担当しており、太鼓の音が会場に響き渡ります。

驚いたのは、我が子の反応でした。普段じっとしていることが少ないのに、私の膝の上で真剣に、まったく動くことなく演舞を見つめていたのです。
子どもながらに、この神聖な雰囲気を感じ取っていたのかもしれません。

獅子噛み〜健康祈願の瞬間

踊りの後は、いよいよ獅子噛みの時間です。

子どもを噛んでもらおうと大人や子ども自身が手を上げてアピールしていて会場は大いに盛り上がりました。

我が子は最初「ガオー!」と興奮していましたが、実際に獅子が近づいてガブッと噛まれると、びっくりして大泣き!でも意外と早く泣き止んで、その後獅子が近づくと「あっち、あっち」と嫌がる姿が愛らしかったです。

幸運なことに、もう一頭の獅子にも噛んでもらえ、「ありがたい」って気持ちでいっぱいでした。

多彩な伝統芸能〜地域文化の宝庫

参加型盆踊りで異世代交流

子どもの獅子舞の後は、参加型の盆踊りが始まりました。我が子は祖母と一緒に人生初の盆踊りを体験。

最初はパパママから離れて少し泣いていたそうですが、曲が鳴り出すと好奇心いっぱいの眼差しになったそうです。

神聖な儀式「シチガチニンブチャー」

その後は、シチガチニンブチャー(七月念仏踊り)やナナチンガニ太鼓などの伝統芸能が披露されました。

場内のお祓いや慰労を行う神聖な儀式でのなかで、特に「シチガチニンブチャー」は、真ん中に地方(じかた)の方々が集まり、太鼓がそれを囲うように踊り、お客さんも円形で見守るという構図が印象的でした。
まるで儀式の一部として参加しているような空間でした。

子どもは獅子以外は見るかな?と心配していましたが、こうした伝統芸能もじっと見入っていました。

メインイベント〜大浜獅子棒保存会の圧巻の獅子舞

大浜獅子保存会の迫力ある獅子舞

そして、いよいよ「大浜獅子棒保存会」による獅子舞が始まりました。

2体の獅子が登場すると、会場の空気が一変します。

子ども獅子も素晴らしかったのですが、大人の獅子舞は別格でした。力強く迫力のある動き、息がぴったりと合った連携プレー。一体どれくらい練習を重ねているのだろうと、子どもと一緒に見入ってしまいました。

演舞の一部を動画でご紹介↓

迫力ある演舞

特に驚いたのは、獅子がドラム缶の上に飛び乗ったり、缶の上に立って転がしたりするアクロバティックな演技!

会場からは歓声と拍手が沸き起こりました。

再び訪れたご利益タイム

そして「獅子噛み」の時間がやってきました。

大人も子どもも一生懸命「こっち来て!」とアピール。

すぐ横で小学生くらいの子は足をカプッと噛まれて軽く引っ張られていて、びっくり!!

我が子は、私では力不足だと思ったのか、夫に必死にアピールし抱っこ移動しました。

その夫は、子どもを高く掲げて獅子にアピール!!
それに応じるかのようにカプッと噛んでくれました。

健康祈願、大成功です!

子どもは再び大泣きしましたが、獅子の動きに魅了されたのかすぐに泣き止みました。

その後は、パパに掲げられないようにぐっと力を入れて抵抗し、獅子が近づくと「あっち、あっち」と言って怖がっていました。

なびんちゅ

獅子舞の1頭は観客席の前、もう1頭は後ろまで獅子が回ってくれて、後ろのお客さんたちも噛まれるチャンスを得られて、素敵だなと思いました。

体験を終えて〜文化継承の大切さを実感

子どもの心に残った体験

帰り道でも、子どもは「ガオー!」と興奮していて、後日獅子の動画を見せると大喜びでした。全体的にじっと興味深そうに見ていて、素敵な体験をさせてあげられたと心から思いました。

感謝の気持ち

大雨の中、場所取りをしてくれた義母と義弟には心からの感謝しています。そして、この素晴らしい伝統を守り継いでいる大浜獅子棒保存会や地域の方々にも貴重な体験をありがとう!と感謝します。

地域コミュニティの温かさ

地域住民の魂を入れる「獅子起こし」は公民館の神棚の前で「ニガイフチィ」を読み上げ行うそうです。
住民総出で行われる「フクダ」(獅子の毛)作りなど、この伝統を守り継ぐための地域の結束力がこの舞台を支えているんだと感じました。

まとめ〜伝統の重みと未来への希望

石垣島大浜のイタシキバラは300年以上続く神聖な伝統行事であり、地域の絆を深める大切な文化遺産だと思いました。

小学生から大人まで、世代を超えて受け継がれるこの伝統には、「地域で子どもを育てる」という温かい精神が息づいています。我が子がこの神聖な空間で健康祈願を受けられたことは、家族にとっても貴重な経験になりました。

もし石垣島を訪れる機会があれば、ぜひ旧盆明けのイタシキバラを体験してみてください。


参考情報:
  • 開催時期:毎年旧盆ウークイ(送り日)の翌日の夜
  • 開催場所:大浜地区・崎原公園、オーセ御嶽など
  • 主催:大浜獅子棒保存会
  • 入場:無料(地域の伝統行事のため)

※開催日時は年により変動するため、事前に地元での確認をお勧めします

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